桜時雨の降る頃
その日の夜。
案の定、陽斗と姿を消したわたしには質問責めの刑が待っていた。
「本当に付き合ってないの?」
「ないってば。もー、みんなしつこい」
「だって、陽斗くんが女の子誘うの見たの初めてだったから」
「……陽斗じゃなくても、あんまり目の前で女の子誘うとこって見るものじゃなくない?」
「そう言われればそうか?」
あはは、と笑いが飛ぶ。
「分かった! 誘われてるとこはよく見かけるから、自分から誘うとこ見てびっくりしたのかも」
「あー、そうかもね! 陽斗くん押しに弱そうだし」
「そうだ、腕組んでたってホント?」
噂には既に尾ひれがついてる。
がくっとうなだれながら、わたしはそれを否定した。
「手も繋いでないし腕も組んでないって。
もー寝よ? 疲れちゃった」
わたしはそれだけ言って、ガバッと布団を頭から被った。
「あ、逃げたねシズ」
「あ、でもそろそろマジで寝とかないと。消灯時間過ぎてるし見回り来るよ」
みんなも結局寝ることに同意して、そのまま話はお開きになった。