桜時雨の降る頃
中2の終わり。人より遅い初恋。

気付きたくなかった気持ち。

だからわたしは気づかないフリをして、それを胸の奥底に封じた。

佳奈ちゃんにも誰にも言ったことはない。


「何だよそれ。冷てぇな、幼なじみなのに」

「朔斗には言われたくないね。あんた、こないだまたこっぴどく女の子振ったでしょ。泣いてたよ」


「猫撫で声で迫ってくるタイプ、俺嫌いなんだよ。魂胆ミエミエで気色悪い」

気色悪いって……

相手の女の子が気の毒になるほどヒドイ感想だ。


「じゃあ、朔斗が付き合ったタイプはわりと好みだったんだ?」

「ん? ……うん、まぁ」


なんだか歯切れが悪い。

これ以上詮索はしない方がお互いのために良さそうだ。


「ふーん。 でもさ、そこまで好きじゃなかったんなら、結局朔斗もレンアイしてたわけじゃないじゃん。まだ恋も知らないのはそっちじゃないの?」


さっき言われた失言を思い出し、わたしは朔斗に反撃をしかけた。


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