桜時雨の降る頃
わたしには、1ミリも興味ないって言ってたくせに。


嘘だったんだ。

ううん、その時にはもう彼の中で終わっていたんだろう。

少しやるせなくて、渇いた笑みが浮かんでくる。


「雫には、陽斗みたいな奴が合ってるよ」


「……そうかなぁ」

「なんか不満でも?」

「そんなのないけど」


朔斗はわたしが陽斗と付き合えばいいと思ってるんだ。

さっきの発言からするともう、そう考えざるをえない。


朔斗にとって、わたしはもう過去のこと。


そう思い及ぶと、無性に胸の奥がチリチリと痛む。



ーーーー心の1番奥に蓋をした気持ち。


わたしの初恋は






ーーーー朔斗だった。



気付いた瞬間、蓋をした。

どうしてか分からないけど、

それは開けてはいけないパンドラの箱のように思えた。

この気持ちは伝えたりしちゃいけない、

ーーーーそう、思ったんだ。


直感だったんだろう。

3人のバランスを保つための。
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