桜時雨の降る頃
確かに子供の頃からネコグッズは好きだったけど。


朔斗のたまに見せる優しさは、毒みたいだ。


「…………ありがと。可愛い」


振り絞るようにお礼を告げたけど、

朔斗の顔は見れなかった。


色んな感情がごちゃ混ぜになって

寂しいとか、嬉しいとか、どうしようとか。


自分の感情がどうなってるのかもう訳わかんない状態になってしまった。
いっぱいいっぱいで、瞳に熱いものが集まってきてるのだけは感じた。

わたしの態度がおかしいことに気付いたのか

朔斗が首を傾げて隣に座るわたしを見つめているのが分かる。


「……雫? どうした?」

それはひどく優しい声色で

まるで陽斗の声みたいだった。


わたしは、黙って首を横に振った。

今、口を開いたら

言わなくていいことを言いそうだった。


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