聖夜の奇跡


大切な親しい人が倒れたのだ、心配だろう。
先生の家の状況や、なんでそれで結婚生活続けているのか、私が首を突っ込む話では、ない。


離婚した私が、偉そうに言えることでもない。
あの日私と話をしてくれた先生を、私が勝手に人格者のように、思い込んでしまっていたのがいけないのかもしれない。


だけども、急速に覚めていく。
まるで安物の昼ドラを見せられているような気持ちになった。



「師長さんが倒れて運び込まれたあとね、ご両親に連絡して、挨拶までしたらしいよ」



私の胸中などお構いなしに、情報を次々に話してくれる。
その度に、こみ上げる靄が深くなる。



「彼女がどんな状態になっても、最後まで僕が面倒見ますって。どっぷりのめり込んでるって話は聞いてたけど、そこまでってすごいね」



いやいやいや。
おかしいって。


やっぱり、皆麻痺してるとしか思えない。
恋愛病棟、なんて呼ばれて、恥ずかしげもなく。


私の感覚の方が、正しいはずだ。
世間一般、常識的に考えて。


そんな状況、尊敬できるはずもない。
奥さんの気持ちとか、子供さんのこととか。


家に帰らないお父さんを、子供はどう思うの?


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