聖夜の奇跡
私の考え方が、間違ってるなんて欠片も思わない。
けれど、明らかに、疲弊し、目の死んでしまった先生の横顔。
検査の最中だけは、かろうじてちゃんと前を見ていたけど、それ以外の時はまるでどこをみているのかわからなかった。
ぼんやりと宙を見ては、隙あらば居なくなる。
そんな姿を見て、私は自分が冷たすぎるのだろうか、とか。
そんな気さえしてくる。
――― 1週間以内に目を覚まさなければ、難しいかもしれない。
その話が本当なら。
倒れてから1週間というと、今週の金曜日がリミットということになる。
あの、恥ずかしかったけれど楽しかった日から、まだ数日しか経っていないなど。
嘘みたいだ。
「……先生、せめて身体休めないと、参っちゃいますよ」
検査結果をカルテに記録している先生の背中に、その一言をかけるのさえ勇気が要った。
「ん、あぁ。ちゃんと休んでるよ」
覇気のない声で、そんなこと言われても。
少しも、信用できません。
流しを背に、先生の方を暫く見ていたけれど。
胃カメラのモニターの記録をパソコンでチェックしながら、先生はこちらを振り向くことはなく、ずっと背中を丸めたままだった。