聖夜の奇跡
内視鏡室で、先生が置いていったカルテと検査依頼書を手に取る。
どうせかなり後になるだろうが、戻ってくるだろう先生のために、少しだけ作業をしておくことにした。
カルテ記入はできないが、パソコンの入力の手間を省いてあげることにする。
「あ」
患者さんの名前、カルテ番号、と入力していき日付の欄でふと気がついた。
今日はクリスマスイブだ。
ばたばたして失念していたが、帰りにケーキを買って帰る約束をしていた。
「すごい、出来すぎ」
タイムリミットに起きた、クリスマスに装飾された、「奇跡」
どこまでも、出来すぎたドラマのようだ。
そんな言葉が浮かぶのは、私のやっかみなのかもしれない。
カタカタと日付を入力して、その他埋められる欄だけ埋めて、パソコンは立ち上げたままカルテと検査依頼書を揃えて置いた。
施錠はせずに、電気だけをぱちんと落とした。