キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。
冷たく言われたのに嬉しそうにするって変態なんじゃないかと言ってやろうとしたら、美瑚の隣に座った希穂が耳元で囁いた。
「…乃々ちゃんが、お母さんのこと、気にかけて、くれたから、嬉しいんだよ?」
「な…っ!気になってなんか…あーしはただ…っ!」
あーしはただ大量に血液を提供したのに死なれたら困ると思って聞いたのに。
それがどうなったらあーしがあいつを気にかけていることになるわけ?
こうやって関わることであーしが思っていないことに話が進むから、ほんとは採血も父親に知られることなく済ませたかったのに。
父親に知られるよりも一番いやなのは、
「…あいつに言ってないでしょうね?」
「…あぁ。でも本当に言わなくていいのか?」
「あの子の血が入ってるなんてとか言われたくないの。…ただそれだけだから」
医師から輸血についての説明が終わった後、父親に血液を提供する代わりにあーしの血液であることを母親には言わないようにと約束をした。
心音を殺したあーしの血が入っているなんてあいつは思いたくもないだろうし、あーしだってそう思われるのは嫌だ。
このことは父親や希穂、この子たちが知っていればいい。