キミとまた違う未来で、この桜を見上げよう。



このことをあいつに言わない代わりになるかは分からないけど…



「……"お母さん"と二人仲良くね」



あーしが協力したんだからこれで仲良くやっていかなかったら許さないんだから。



誰にも聞こえないように言ったつもりだったけど、横になっているあーしのすぐ隣には父親と美瑚、そして希穂がいる。
この言葉が聞こえないはずはなかった。



「乃々葉…ありがとう…っ!」


「乃々、ちゃん…!」


「うっ…美瑚!そろそろ30分経つから看護師呼んできて…!」


「…ふっ、はいはい」



普段の自分じゃ言うはずもない言葉だった。
あいつのことお母さんなんて言ったこともないし。



だから自分の心の中で留めておけばよかったのに、どうしてだろう。



あの言葉はたとえ誰にも聞かれなかったとしても声にして言いたかった。
結果として全員に聞かれてしまったけど。



でも聞かれた恥ずかしさはあっても、言ったことの後悔はなかった。



言ったことでみんなが笑える未来があるなら、たまには素直になって本音を言い合うのも悪くないなって思えたから。



【side end】

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