泥酔ドクター拾いました。

「えっ、ここ俺の部屋じゃないの?」

「いえっ!!ここ201号室ですけど。」


メガネの奥で彼が心から驚いたように目を見開いた。


私が扉の横に記載してある部屋番号を指で指して示してみると、ようやく彼は納得したような表情を見せた。


「あっ、本当だ。俺の部屋301号室だし。ここは201号室か。」

小さくすみませんと頭を何度か下げた後、彼は階段へと向かって歩いていく。


けれど、彼の歩き方は典型的な千鳥足で、ヨロヨロとしている。

あんな歩き方じゃ、階段なんて昇れないんじゃないかと心配になってしまう。



別に彼が階段を昇れなくたって、私には全く関係ないことなんだけど。

でも、万が一、あの歩き方で階段から落ちて怪我でもしたら…。



私の頭の中にいる天使と悪魔のような声が聞こえた気がした。

階段から酔っぱらって転落した、そんな話は整形外科の病棟で勤務する私にはよく聞く話。

急に骨折したレントゲン画像が頭に思い浮かんでしまって、私は思わずぶるっと身震いしてしまう。

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