泥酔ドクター拾いました。
「ちょっと、あなた!!起きてください!!おうちに帰りますよ!!!」

仕事で疲れているっていうのに、こんな深夜に何やっているんだ、私は。

自分が深夜の玄関先で見ず知らずの泥酔男相手に格闘している自分に気分が落ちてしまう。

私は301号室の泥酔男の部屋まで送ってあげようと思って、彼を揺さぶるようにして無理やり起こす。

彼は一瞬深く眉間に皺をよせるとゆっくりと瞼を開ける。
何度か辺りを見渡して、ここが眠るのに適した場所ではないと思ったのか、のらりくらりと立ち上がった。


よかったぁ。これで私も一安心。

だと思ったのはほんの一瞬のことで。

彼は立ち上がったかと思うと、上体がぐらりと大きく傾いて、私にもたれかかってきた。

長身で鍛えられているのが分かる彼の重みが私の身体にズシリとのしかかる。
立っていることすら私もやっとのことで、少しでも気を抜いてしまえば彼と一緒に私も倒れ込んでしまいそうだ。

とてもじゃないけれど、これで彼を担いで階段を昇る自信なんてない。

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