泥酔ドクター拾いました。
「頭痛ぇ…」

もたれかかった彼の顔を少しだけ覗き込んでみたら、顔色もなんだか悪い気さえしてきてしまう。

もたれかかった状態のまま、バリトンボイスの低い声で呟かれた苦しげな一言。
彼の一言に私の身体の中のどこかにある、スイッチが入った気がする。


あぁ、もう。仕方がない。一晩だけ。
この人にもし何かあったら、それこそ私は眠れない日が続く。


これは人助け。そして、私が安眠のため。
そう、人助け。

何度も何度も人助けだと自分を納得させるために心の中で繰り返す。

それから私は意を決して、目の前の玄関扉を開いて、私の部屋にこの泥酔男を運び入れた。

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