泥酔ドクター拾いました。
彼を引き摺るようにしてどうにか私の部屋に運んだ時には、私の息があがっていた。

この調子じゃ、私一人の力ではとてもじゃないけど301号室の彼の部屋にはたどり着かなかったはずだ。

ひとまず、苦しげにしている彼を私のベッドに横にしてあげる。
メガネを外して枕元に置く。
ネクタイを外して、シャツの首元のボタンを外した後、少しだけベルトも緩めてあげる。

苦しそう表情はしているものの呼吸も正常、念のため脈も測定してみたけど規則的で安定している。

「うん、大丈夫。」

見ず知らずの、しかも私の唇まで奪った最悪の泥酔男のはずなのに、大丈夫だということを確認した私はホッと胸を撫でおろした。


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