泥酔ドクター拾いました。
自転車を運び込む前に、渡された傘を差しながら大和田先生の後をついていく。

先生はというと、私の自転車を運んでくれたせいで、一瞬にしてびしょ濡れになってしまっている。

濡れているのは、大和田先生だけじゃない。

先生が大事にしているいつも嫌味なほどに黒光りしている高級外国メーカーのスポーツカーだって、私の自転車を載せてしまったせいでシートは雨と泥で汚れてしまっている。

「いいから、早く乗って」

私が汚れてしまった後部座席に視線を動かしていると、有無を言わせない口調で先生は私を助手席に乗るように指示を出す。


ここまでしてもらって断ることなんて出来なくて、私は大和田先生の車の助手席に乗り込んだ。
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