泥酔ドクター拾いました。
「それにしても、今日は仕事が終わるの早かったんですね」

いつも私が日勤帯で帰る頃には、患者さんの様子を見て回ったり、書類整理している様子だし、マンションの駐車場にこんな時間に先生の車が停まっているなんて珍しい。

「終わるのが早かったんじゃなくて、終わらせただけ」

「えっ？」

一瞬、大和田先生の言っている意味が分からなくて私は首を傾げる。


「カンファレンスが終わったら、職員通用口で雨宿りしてる藤代さんを見かけたから、送ろうと思って声かけようとしてたんだけど、他のスタッフに声かけられてしまってさ。その間に帰っていたみたいだから、急いで仕事終わらせて藤代さんを追いかけたんだ」

大和田先生がわずかに揺らいだ瞳で真っすぐに私を見つめてくるものだから、私は視線をかち合わせたまま、次の言葉が見当たらない。
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