*ΒaD boY,SaD girL*
[Worried]

待合室にいるのは宇田と哉未の他に2.3人の人がいた。

哉未は手を組みソファーに座っている。

“里沙さんの体は無事だったんですが・・・残念ながら赤ちゃんは・・・”

“妊娠2ヶ月は一番大事な時期で”

“里沙さんは充分な睡眠や食事はとってらっしゃいましたか?”

昨夜の看護師の言葉が頭から離れない。
でも里沙の笑った顔を見たら妙に安心してしまった。
同時に罪悪感。

「里沙の面会許可でたよ!」

朝早く舞美と智貴がバタバタとやってきた。

「そっか・・・」

宇田が頷き疲れたように立ち上がる。
昨日は宇田も哉未も寝ていない。

「哉未」

宇田が呼び掛けるが反応はないが寝ているわけでもない。
哉未は昨日トイレ(実際は里沙の病室)から帰ってきてから一言も口をひらかなかった。

「哉未。お前が、まず会ってこいよ」

宇田の言葉に哉未は顔を上げる。

『え?・・・あぁ』

あまり乗り気ではない。
昨日は少し言葉は交わしたものの・・・〔どんな顔して会えつぅんだ・・・〕

里沙はまだ知らなかった。自分に起きた事を・・・。
でもいつかは真実を知る事になるんだ。
哉未は妙な緊張と不安を胸に抱き立ち上がった。

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