*ΒaD boY,SaD girL*
がつっっ!!

「哉未!あんた卒業式くらい真面目に返事くらいしてよね!恥かいたわ」

今まで微笑んでいたと思ったら急に持っていたバッグで哉未の頭をなぐった。
皆は、目が点であいた口がふさがらない(笑)

『いてーな!んな色の着物きてる方が恥だつーの!』

哉未は頭をさすりながら自分より背の低い母親を見下ろした。

「くそがきっっ」

真衣子は着物の裾から右足を出し哉未をける。

「すげーな(笑)」

「須賀くんにあんな事できんの三森かお母さんくらいだよな(笑)」

その様子を少し離れた場所から周りの人たちは笑いながら見ていたが一人が里沙の名前を出すとシーンとなってしまった・・・気まずそうな顔をする周り。
そんな雰囲気にしてしまった原因が自分にあるようでムカムカする。

『ちっ』

哉未は舌打ちしながら髪をかきあげる。
その様子を真衣子は無言で見上げ

「哉未。母さん帰るから・・・」

つぶやく。

『あぁ・・・』

そう言って哉未は母親に背を向けた途端に・・・

バシッ

「男ならケジメつけな」

そう言って真衣子は哉未の背中を叩いた。

『・・・』

哉未は驚いた顔で振り替える。
真衣子は、すでに背を向けていて右手をひらひらさせながら歩きだしていた。

『おー』

照れくさい気がして、だるそうに返事する哉未。
両手をズボンのポケットに突っ込むと真衣子とは反対方向へ歩きだした。

「哉未かえるの!?写真はー!?」

女子生徒たちが帰ろうとする哉未に向かって叫ぶ。

『今度な』

「今度って・・・卒業式は今日だけなんだよ!?」

そういって少し怒った口調の女の子たち。
哉未は返事するかわりに振り返り口元を上げ笑った

そんなのわかってるよ。
今日だけだから今日しかないから・・・だからだよ。


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