生存税
「過去にもこんな事があった。それだけは覚えてる。」
「...。」
何をグレンは焦っていて、何を思い出したいのか。わからない。僕はそれを知らないと、何か前に進めない気もする。
「何もかもうまくいかなくて、その上自分の視界はいつも曇ってた。」
「でも、曇ってたってことは今は澄んでいるんでしょ?それなら...。」
「よくないよ。全然、よくない。でも、今は隼がいてくれるから。」
ぎゅっと身体を包まれて、ふわっと甘い香りがした。
「大好きな隼に今、こうやって、自分でしっかりと触れられて、僕は幸せだ。」
こんなにも細い体でも、しっかりとして抱擁感はある。身体は細くても、背は一回り高いだけで、こんなにも違う。
これは、アランではなく紛れもないグレン。
それはわかっているけれど、二人はやっぱり似ているのかもしれない。
何か、過去に重いものを抱えている。
でも、具体的な何かを口には出さない。
二人は対象的であり、時に似ているのだ。