炎のごとくっ!
「お前たち、家に着いたぞ」

祖父の声で俺は「はっ」とした。どうやらいつの間にか寝ていたらしい。

「ここが今日からお前たちが住む家じゃ。庭には湊の好きな野球のピッチングが出来る様にしとるぞ。」

「ああ、ありがてぇ。」

俺は車から出て早速、マウンドっぽいところに行って足場を確認する。

しばらく見た感じだと悪くないと思う。取り敢えず服着替えて後でピッチング練習しておくか。

「ふふ、お兄ちゃんさっきまで不機嫌だったのに急に元気になってる」

柚が俺を見て笑ってやがる。

「そんなに俺、ご機嫌だったか?」

「顔はいつもの無表情って感じだったけど、背中に元気があったよ」

なるほどよく分からん。

「まぁ、良い。これから入学まではここでピッチングしたり、この周りをランニングしたりするしかない。俺は入学までの間怠けるつもりは一切無い」

「うん、入学まで後一週間だし、後で少しこの辺の探索行かない?」

このバカな妹はさっき言った俺の言葉を忘れたのか?

「俺は怠けるつもりは無い」

「だから今日だけ一緒に探索しようよ!」

ああ、断固断りたいところだが断ったらコイツ一人で探索するし、見知らぬ土地で女の子を一人で探索させるのは危ないしな・・・クソっ!

「分かったよ・・・!行ってやるよ!だけどあんまり長くなるのは嫌だからな」

「本当に?やった!」

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