オリオン
「シンでいいよ」
そう言ってまたさっきの微笑を私に向ける。
この人は自分が笑えていない事をわかっているのだろうか?
「どっかブラブラと」
一応年上だから、さっきの質問に律儀に答える私。
「暇なら俺んチおいで」
「えっ?!」
サラッという辺りが、いつもこういうことしてるんだなって思わせる。
でも、この日は私がおかしかった。
こんなに軽くて、魂胆見え見えの奴にいつもなら絶対に付いて行かない。
それなのに、この時私は催眠術にかけられていたんだと思う。
シンに手を引かれながら、シンの家へと向かった。