オリオン

玄関で靴を脱ぎ、部屋の中に入ると大きなベッドが部屋のど真ん中に置かれている。



部屋の真ん中にベッドがある家なんて始めてみた。



古いアパートだけど、アンティークっぽい内装に少しだけ高級感を感じる。



どこにいればいいのかわからずに、私はベッドの前で立ち止まった。



後ろからジュッとタバコの火を消した音が聞こえた瞬間、その大きなベッドに押し倒された。



強引な行動とは裏腹に優しい手つき。



熱い体温とは裏腹に寒そうな瞳。



シン、あんたは何を求めていた?



始めてみたときのように儚く消えてしまいそうだったのはあんたの心だったの?



私の温もりはあんたの冷え切った心を暖めることは出来ていたのだろうか?



今でもそれだけが気がかりでたまらない。



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