空に虹を描くまで
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ガラス工房につき、陵にドアを開けてもらい中に入った。
「こんにちはー」
少し大きめの声で挨拶をした。
作業中だと聞こえないかもしれない。
そう思って大声で挨拶したけど、逆に作業中だと迷惑なんじゃ…。
だけどそんな考えは一気に吹き飛んだ。
「佳奈子ちゃん!」
二人とも作業中だったけど、わたしの姿を見ると手を止めて来てくれた。
「久しぶりー!」
「すみません、お仕事中に」
「全然いいのよ!」
梓さんが陽気に答えた。
「じゃあ、ちょっと休憩しようか」
「そうね」
そう言いながら梓さんはエプロンを脱ぎ捨てた。
「じゃあ、2階に行きましょうか」
「あ、はい」
まだ作業をしているおじさんを見ていると、パッと目があった。
「これが終わったら行くから!」
おじさんは来ないのか、と言う目で見ていたのがバレたんだろう。
恥ずかしい。
「いや、どうぞ作業に専念してください」
「えー、それはそれで寂しいな」