空に虹を描くまで
「え!?じゃあ、待ってるので、早く終えてください」
なんて生意気なことを言ったけど、おじさんは嬉しそうに微笑んだ。
「当たり前だろー」
陽気にそう言うおじさんに、わたしもつられて自然と笑顔になった。
「佳奈子ちゃんは夏休みどうしてたの?」
「家族と旅行したり、友達と遊んだり、バイトしたり…そんな感じです」
「いいわね!青春って感じ!」
目をキラキラさせながら梓さんが言った。
「そ、そうですか?」
梓さんの想像しているものがどんなものかは分からないが、特に青春って感じることはなかった。
自分では分からないものなのかもしれない。
それとも、今後そう感じる時が来るのかな。
どっちにしろ、今絶賛青春中です!なんて思う時が来るようには思えなかった。
「紅茶出すから座ってて」
2階に上がると、梓さんがお菓子と紅茶を用意してくれた。