空に虹を描くまで
「いただきます」
とてもいい香りがする。
わたしはグラスを手に取り、用意されたアイスティーをすすった。
「はぁー、美味しい」
冷えた紅茶は温まったわたしの体を喉からゆっくりと冷やしてくれた。
「そういえば今日花火大会があるのよ、知ってる?」
「あ、知ってます。陵が連れて言ってくれるって」
「え〜、陵ちゃんが?」
ニヤニヤしながら楽しそうに陵を見つめた。
「なんだよ」
梓さんの反応が気に入らないのか冷たく言い放つと、アイスティーを口に流し込んだ。
「あ!もしかして、一緒に行こうと思って、わざと今日誘ったんでしょ?」
梓さんは自信満々で陵に訪ねた。
「ゴホッ」
アイスティーが気管に入ったのか陵がむせた。
「だ、大丈夫?」
「あ〜、図星なんでしょ?おかしいと思ったのよ、だってはじめ…」
「おい!」
苦しそうに咳をしていた陵が梓さんと言葉を遮ると、何かを訴えるように梓さんを睨みつけた。
「ごめんごめん」
「もうこれ以上何も言わないから」と言うように片手を立てた。