空に虹を描くまで
「あ、そうだ。今日川辺で花火大会あるらしいぞ。せっかくだから二人で行ってきたらどうだ?」
おじさんの提案に苦笑いをするわたし達。
「それが、もういく約束しているみたいよ」
「陵も手が早いな」
陵は完全におじさんを無視していた。
おじさんは何かを思いついたかのように「あ!」と言うとわたし方をチラチラと見て来た。
「よかったら、浴衣があるんだけど来ていかないか?」
「え、浴衣ですか?」
「いいわね!浴衣!」
おじさんの意見に乗り気の梓さんは勢いよく部屋から出て行った。
浴衣なんて家にはなく、そもそも着たことがない。
いや、小さいころ七五三とかで着ている写真があったけど、あれは着物?
近所にお祭りごとがないせいか、着る機会なんてほとんどなかった。
「じゃじゃーん」
着物を手に持ち「どう?」とわたしに聞いてきた。
「…かわいい」
思わず口からぽろっと言葉が溢れる。