空に虹を描くまで
「気をつけてね。人は多いと思うけど、夜遅くなるだろうし」
「はい。ありがとうございました」
「楽しんでこいよ」
「行ってらっしゃーい」
おじさんと梓さんに見送られながら部屋を出た。
下駄なんて普段履かないから歩きにくい。
運動靴と違って硬いし、転びそう。
陵は先に階段を降り、わたしが降りるのを待っていてくれた。
「お待たせしました。ごめんね」
やっとの思いで一番下まで降りた。
階段を降りるだけでこんなにも降りづらいなんて。
「似合ってるよ」
「え!?」
予想外の言葉に驚き目を見開いて陵を見た。
陵は優しく微笑むと、ゆっくりと進みだした。
びっくりした。
心臓がうるさいくらいにバクバクいってる。
顔が赤くなっていくのが自分でもわかった。
その後もドキドキした感覚は収まらず、始終緊張しっぱなしだった。
浴衣のせいかもしれない。
普段着慣れないものを着て、緊張してるんだ。きっと。
早く収まって。
そう祈りながら屋台へと向かった。