空に虹を描くまで

「あ、入れてやるよ」

わたしの手から器を取り、陵が取り分けてくれた。

「この辺のも食べるだろ」

わたしの席からは遠い料理までよそってくれた。

「あ、ありがとう」

中華レストランみたいにテーブルが回れば自分で取れるけど、反対側にある料理はやっぱり手が届かない。

そんな陵の優しさが胸に染みた。


「もー、陵ちゃんったら紳士ねえ」

梓さんとおじさんがこちらを見てニヤニヤしていた。

それを見て、急に恥ずかしくなり顔が赤くなるのがわかった。


「ま、女の子には優しくしねーとなあ」

「はいはい、わかってるから」

陵はいつものごとくクールにおじさん達のからかいをかわしていた。


「あの、お二人はいつからこのお店を始めたんですか?」

わたしはこの空気に耐えきれず話題を変えた。


「んーいつからだろう?このお店を始めたのは15年くらい前かな?」



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