空に虹を描くまで


「最近リフォームしたのよ」

「あ、そうなんですね」

確かにお店は15年も前の雰囲気がなかった。


「イメージをガラリと変えたのよね」

梓さんが同意を求めるようにおじさんを見て言った。

「そうそう。初めは色々揉めたんだけどな」

「そうなのよ。意外と頑固なんだから」

おじさんも自分の意思が強そうな人だから、妥協はしたくなかったんだろう。


「わたし達も職人としてはまだまだだけど、ここまで来るのにもだいぶ苦労したものね」

静かに梓さんが呟いた。

華やかに見えるけど、ここまで来るのに色々努力したんだろう。


あそこまで技術をつけるのにどれほど経験を積んだのか。

一からお店を開くのがどれほど大変か。



今のわたしには想像できない。

だってまだ何も経験していないから。


わたしが陵の立場なら、少しくらいおじさん達の苦労がわかると思う。

親戚だからとかそういう理由ではない。

同じようにガラス工芸をやっているからでもない。


仮におじさん達がレストランを開いていてピザ職人でも、わたしよりも陵の方がきっと何倍も想像がつくだろう。

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