【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
「誤解しないで……抓ったり、ひっかいたり、そんな乱暴な事しないわ」
否定しながらも、シルディーヌは内心ちょっぴり慌てていた。
頭のいいアルフレッドには、シルディーヌのすることなどお見通しのよう。
実はちらっと考えたのだが、後々“お前がつけた、このケガの責任を取ってもらおうか”などと迫られ、とても恐ろしい報復が待っていそうで叩くにとどめたのだから。
けれど、口は悪いが、アルフレッドがシルディーヌのことを心配しているのは、事実のようだ。
一緒にいる責任感からなのか、それとも、シルディーヌだからなのか。
アルフレッドの胸の内は難解で、シルディーヌは首を捻るばかり。
でもどちらにしても今は意向に従うほかになく、抵抗をあきらめて買い物を楽しむことに決める。
周りに目を向ければ、かわいい雑貨店に素敵な洋品店など、興味をそそる店構えが次々と目に入って再びわくわくと胸が躍り始める。
「ね、アルフ。あのお店にも寄りたいわ!」
「……覚えておく。後でな」
まずはアルフレッドおススメの紅茶店に行くと、紅茶のいい香りが店中に漂っていた。
内装は茶色を基調とした色合いで、とても高級な雰囲気がする。
ショーケースには紅茶を使ったクッキーやケーキなども売っていて、どれも欲しくなって迷ってしまう。
「アルフは、どの紅茶を買うの?」
「俺はいつもキーマンだ」