【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
「まあ、団服を着ていても、今日はなにもしないがな」
「分かってるわ。貴重なお休みだもの。アルフも仕事を離れたい時があるのよね。いつもお仕事大変そうだもの」
労いの気持ちを込めて言うと、アルフレッドは紅茶をクイッと飲み干してテーブルに置き、シルディーヌをじっと見つめた。
「いや、ちょっと意味が違うな。今は俺にとって大事な時間だからだよ。だが、邪魔が入れば排除する」
邪魔というのは、もしや太った男性の一件だろうか。
大事な時間というのは、滅多に取らない休暇とどう違うのか。
それは、まさか……。
シルディーヌの中で、いったん打ち消した甘い言葉が再び浮上する。
いや、でも大きな勘違いかもしれない。
「えっと、それはつまり……どういう意味なの?」
「そのままの意味だよ。で、紅茶はどうするんだ?決めたのか」
「ええ、このアーセラを買うわ。すごく気に入っちゃったもの」
「ふん、単純な奴だな。勧められたら、なんでも買いそうだな。気をつけんと、そのうち粗悪品をつかまされるぞ」
「そんなことないわ。大切なお金を使うんだから、ちゃんと吟味するわ。これは、本当に気に入ったから、買うの。毎日休憩時間に飲むつもりよ」
「……ふむ、まあ、いいだろう」
アルフレッドはぼそっと言った後店員を呼び、アーセラを注文すると、シルディーヌがお金を出す前に、さらっと支払いを済ませてしまった。