【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
「ええ、そのお方! ね、決まったお方がいらっしゃるのかしら? シルディーヌは知ってる? ご結婚されてるの?」
ペペロネの勢いに半ば面食らいながら、シルディーヌは記憶をたどった。
「たしか、まだ独身のはずよ」
「そう、独身なのね……」
ペペロネは嬉しそうに目を細めて、カップのふちを指でなぞった。
「フリードさまは、心細くて怖がっていた私を、優しく励ましながら外まで導いてくださったの。とても指揮を執る姿も素敵で……私、あれから、あの方のことがずっと頭から離れなくて……寝ても覚めても、こうしている今も、姿を思い浮かべてしまうの」
ペペロネは、真っ赤に染まった頬を両手で隠すように抑えた。
なんと、ペペロネがフリードに恋をしている!
シルディーヌは他人事ながらにうれしくなって、わくわくと胸が躍る。
フリードならば、人柄良し、家柄良しの、超おススメの殿方だ。
ペペロネとお似合いだとも思う。