【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難


それに、シルディーヌはアルフレッドに尋ねたいことがある。

お茶を飲んでリラックスしていれば、普段あまり自分のことを話さないアルフレッドも少しは饒舌になるかもしれない。

かくして、アルフレッドに優秀だと認めてもらうのと、ゆっくりお話をするのを目的とした、シルディーヌと一緒に休憩しましょう作戦である。


トレイを持っているおかげで四苦八苦しながらも、なんとか団長部屋の扉を開けて入ると、アルフレッドは書き物の真っ最中だった。

よほど大事な書類の処理をしているのだろう、シルディーヌが呼びかけてもチラリとも顔を上げない。

手元に置いてある本をパラパラと捲ってはペンを走らせており、休憩する時間など微塵もなさそうな雰囲気を醸し出している。

一緒にお茶を飲むのは、あきらめた方がいいかもしれない。


「なんだ、用があるならさっさと言え。またなにかの文句か? まったく、お前も飽きないな」

「違うわ。いくらなんでも、そんなに何度も文句は言わないわ。今日は、アルフにお茶を持ってきたの」

「なに……お茶、だと? 俺は頼んでないぞ」


書き物をしていた手をぴたりと止めて、アルフレッドはようやく顔を上げた。

トレイを持っているシルディーヌを見る目は、ちょっぴり訝しげに見える。


「あ、そうなんだけど。たまには、アルフと一緒に休憩したいなって思ったの」

「む……お前が、俺と、休憩したいと言うのか。それは、お前が入れたのか?」


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