【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難


フリードには“団長の世界はシルディーヌを中心に回っている”と断言され、ペペロネには“団長に愛されまくっている”と羨ましがられ、アクトラスには“団長はいつもデレデレしている”と言われたが、シルディーヌはいまひとつ実感がない。

身に溢れて壊れてしまいそうなほどに強大な愛を注がれているのは確からしいが、団長部屋でふたりきりになっても甘い言葉は言わないし、執務中は話しかけづらい威厳を放っている。

まあ実際に四六時中デレデレされてもシルディーヌは困るし、そもそもアルフレッドが甘々になるところなど想像できないのだが。


けれど、ふと考えてみたのだ。

アクトラスの言っているデレデレとは、いったいどんな感じなのだろうかと。

一般的なデレデレな顔というのは、鼻の下を伸ばしてニコニコしているイメージがある。

そして、甘い言葉とは……。


『君は誰よりもかわいい』

『君は俺の天使だ。空を飛んで逃げないように、私の腕の中にしっかり閉じ込めておこう』

『君の美しさを前にすれば、どんな花も萎れて見えるさ』


胸をときめかせて読んだ恋愛物語の中で、一度は言われてみたい憧れ台詞を思い返してみたのだが……アルフレッドに言われたら、やっぱりちょっと気味が悪いかもしれない。

バラの花束が似合うような貴公子が口にする言葉なのだろう。現実は夢物語とは違うのだ。


アルフレッドは、これからどんな言葉をシルディーヌに言ってくれるのだろうか。


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