【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
もしかしたら、なにも言ってくれないまま一年が過ぎてしまうこともあるかもしれない。
一年経てば、シルディーヌはサンクスレッドに帰らなくてはならない。
アルフレッドはどうしたいのだろう。
そしてシルディーヌ自身も、アルフレッドとどうなりたいのか、よく分からないでいる……。
シルディーヌはペペロネがフリードに恋をしていることを話し、さりげなく王宮舞踏会を話題にのせる。
今アルフレッドに訊きたいのは、ただ一つだけ。
ちょっぴり訊きづらいことだが、思い切って口にした。
「アルフは、舞踏会に招待されていないの?」
子爵令嬢のシルディーヌと違って、アルフレッドは貴族ではない。
庶民の騎士から、実力で騎士団長へと成り上がった身だ。
国防の要である騎士団長ならば、貴族院の長官と同等かそれ以上の身分になっていて、舞踏会にも出られるはずなのだ。
「舞踏会なら、騎士団長になる前からずっと、毎年フューリ殿下に誘われているぞ。だけどああいうチャラチャラした世界は性に合わないから、まだ一度も出たことがないな」
「え、それって、もしかして王太子殿下直々のお誘いを、毎回お断りしているってことなの!?」
そんなことしてもいいの?という思いを込めて訊き返すと、アルフレッドはこともなげに肯定する。