【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
シルディーヌはもちろん、みんなも大きな舞踏会に出るのは初めてで、豪奢な雰囲気に圧倒され気味だ。
美しい色のドレスを着た華やかな令嬢グループが、鈴の転がるような声で談笑しながら大広間の中を縦断していく。
堂々として、それでいて優雅。その場慣れした姿は、シルディーヌにはキラキラと輝いて見えて憧れてしまう。
その令嬢のグループに、物腰の柔らかい貴公子のグループが話しかけている。
ついこの間想像した、夢物語の中の甘~い言葉を言いそうな人たちで、なんだかとってもまぶしく映る。
開始時刻が迫るにつれて人がどっと増え、あちらこちらで談笑する塊が出来始めた。
その中心には、権力のある貴族がいるのだろう。
王宮舞踏会の規模はとてつもなく大きく、シルディーヌの知っている社交界など、ごくごく狭くてちっぽけなものだと改めて思い知らされる。
そんな中、ペペロネが「シルディーヌ。私、フリードさまを探してひとまわりしてくるわ!」と、瞳に燃える様な意欲をたぎらせて離れていった。
「やっぱり、恋する乙女の行動力はすごいわよね……」
「失礼ですが、シルディーヌさんですか?」
ふと背後から声をかけられて振り向けば、貴族然としたフリードが微笑んでいた。
つい先ほどペペロネがフリードを探して人の海の中に出発していったところなのに、なんてタイミングが悪いのか。