【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
それでも、アルフレッドがほかの女性といる姿が頭にこびりついて離れない。
ますます大人の色気むんむんの美しい女性の方が、お似合いに思えてくる。
真っ向勝負されたら家柄も色気も教養も、田舎の子爵令嬢で年下のシルディーヌは太刀打ちできそうにない。
アルフレッドから強大な愛情を注がれていることも、夢でみた出来事のようだ。
「アルフのバカ」
しょんぼりしながら大広間の隅っこの方へ移動する。
ワクワクドキドキの夢のような王宮舞踏会が、一気に色あせていく。
シルディーヌはダンスを楽しむ輪から遠く離れ、だだっ広い大広間の隅の壁に背中を預けた。
「アルフがほかの女性と踊っているのが、こんなに、ショックだなんて……」
たかだかダンス、なのに。
なんて心が狭いのだろう。
アルフレッドはドSでいじめっ子で、シルディーヌがぷっくり膨れて文句を言うとすごく面倒そうな顔をして……でも、たまにとても優しい。
「ああ見つけたぞぉ、シルディーヌ~」
「はい?」
横から声をかけられ、顔を上げたシルディーヌの目に映ったのは、黄色のタキシードを着た丸いお腹がはちきれんばかりの人。
ぽてぽてとお腹を揺らしてそばまで来るのは、身震いするほどに苦手な男だ。
「え!? ふ、ふ、ふ、とっちょ、カーネル!? どうして、ここにいるの!?」
「どうしてって、招待されたからに決まってるだろぉ。これでも、毎年来てるんだぞぅ」