【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難
「わあ! すごく広いんですね!」
「はい。全団員が暴れまわっても、余裕で稽古ができる広さです」
まず最初に来たのは、一階にある室内鍛錬場。
一階フロアの半分以上を占めるほどの広さがあり、団員たちは毎日ここで剣と体技の訓練をするとフリードは言う。
壁も床も板張りで、上部に明り取りの窓があるだけ。
宮殿内とは思えないほど、シンプルな造りだ。
床にも壁にも剣が刺さったような傷がたくさんあって、かなり激しい練習をしているのが想像できる。
壁に一か所だけ新しい板がはめ込まれている部分を見つけ、シルディーヌはそこを指さしてフリードに尋ねた。
「あそこだけ、修理がしてあるんですね?」
「ああ、あれは、団長が着任した当初に大穴を開けてしまった部分です。最近になってやっと修理させたところですよ」
「へ!? アルフが開けたんですか?」
修復部分は大体人ひとり分くらいの大きさがある。
棒みたいなもので、うっかり穴を開けちゃった!というレベルではない。
なにをしたらあんな大穴が開くのだろう。
「はい。黒龍騎士団は、性格の荒い者が多いですから、仕方ありませんね」
「フリードさん。それ、全然答えになってません」
「ああそうですよね……すみません。でも、これをシルディーヌさんに言ってもいいものか……怖がらせてしまうかもしれません」