【電子書籍化】王宮侍女シルディーヌの受難


屋根に旗なんかあったかしら?と、外観を思い出してみるが、ぼんやりとしていてよくわからない。

こんなシルディーヌのようなうっかりさんがいるのだから、油断は大敵だと思うのだが、平和になった今は立ち入り禁止の意味が薄れているのだろう。

アルフレッドに剣を向けられたあの時、シルディーヌはしっかり命の危機を感じたのだが……。


「団長が着任する前は、“必要なし”と、入り口警備は任務から外されていたんです。急に復活したために、余計に苦行となっています」


そう言ってフリードは苦笑いをする。


「でもでもフリードさんっ、そうは言っても、油断大敵なんです! しっかり警備するべきです! いつ何時スパイが来るか分からないもの!」


胸の前で手を組んで力説するシルディーヌを見、フリードは一瞬目を丸くしたが、すぐに感心する様に何度もうなずいた。


「うーん、さすがシルディーヌさんですね。団長と同じ事を言います。そうなんです。確かにスパイが来るかもしれない。だから団長は、この先団員以外の守衛をおくことを考えているようです」


それはよかったとシルディーヌはホッとするが、フリードの言葉のところどころに違和感を覚えてしまう。

それがどこで、どうしてなのかは不明で、ただ首を傾げるばかりであった。

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