眠れぬ王子の恋する場所
『不眠症とは、夜寝つきが悪い、眠りを維持できない、眠りが浅く十分眠った感じがしないという症状が続き、夜よく眠れないため、日中に眠くなる、注意力の散漫、疲れ、他にも様々な体調不良が起こる状態を指します』
漠然と知っていた内容でほぼあってたな、と思いながらスクロールしていくと、症状の次に出てきたのは、主な原因。
ストレスなど精神的な負担や、カフェインなどの摂取量、運動不足、部屋の明るさ……と色んな原因が並んでいた。
久遠さんの不眠症がどんな原因からくるものなのかは分からないけれど、社長の話だと中学からってことだし、相当長い付き合いだ。
中学生がコーヒーをガブガブ飲まないだろうし、登下校は歩きか自転車って考えると運動不足とも思えない。
部屋の明るさだとか睡眠環境……も、たぶんない。
学生の頃なら家庭の事情があるしわからないけど、こうしてひとりでホテルに泊まっていれば、明るさなんて自分で調節できるし騒音だってない。
だとすると……ストレス。精神的なものか。……まぁ、神経質そうだしな。
中学の頃から、あんなにしかめっ面ばかりしていたんだろうか。
そんなことを考えながら寝顔を眺め……それから、またネットで検索を始めた。
久遠さんが目を覚ましたのは、社長に連絡を入れてから一時間が経ったころだった。
久遠さんの斜め前に座り、あとワンピースでできあがるパズルを眺めたり、一体作者は誰なんだろうって調べてみたりとしていたら、久遠さんの瞼がゆっくりと持ち上がり……。
ガバッと勢いよく上半身を起こすから驚いて肩を揺らしてから「おはようございます……」と一応声をかけると、久遠さんはまだ覚醒しきらないのか、無言のまま眉を寄せた。
あ。さっそくシワが寄った……と思いながら、状況を説明する。