エリート御曹司が過保護すぎるんです。
「家は逆方向なんです。でも、須田さんから、和宮さんが僕の自転車の鍵を持って帰ったって聞いて」
「自転車の鍵なら、青羽ちゃんに預けてきましたけど……」
「え? あれ?」
二階堂さんは「もしかして、僕の聞き違い?」と顔を赤くして慌てた。
――おもしろーい。
大きな契約を次々とってきて、しかも書類上のミスが少ないわが社のエース。
そんな完璧な人が、聞き間違いでここまで追いかけてくるなんて。
「じゃ、僕は次の駅で降りて、もう一度会社に戻りますね」
「もしかして、まだ仕事の途中だったんですか?」
「はい。和宮さんが僕の帰りをずっと待ってたって、須田さんから聞いたから」
まさか……。
(はめたな、青羽ちゃん……!)
青羽のニヤニヤ笑いが脳裏に浮かぶ。
二階堂さんとの距離を縮めることができたのは、たしかに嬉しい。
でも、仕事で忙しいのに、余計な手間をかけさせてしまったではないか。
責めるでもなく、ニコッと笑顔を向ける二階堂さんの爽やかさに、くらりとめまいがした。
――言えない。
二階堂さんの聞き間違いではなく、青羽ちゃんの確信犯的な行動だなんて。
「自転車の鍵なら、青羽ちゃんに預けてきましたけど……」
「え? あれ?」
二階堂さんは「もしかして、僕の聞き違い?」と顔を赤くして慌てた。
――おもしろーい。
大きな契約を次々とってきて、しかも書類上のミスが少ないわが社のエース。
そんな完璧な人が、聞き間違いでここまで追いかけてくるなんて。
「じゃ、僕は次の駅で降りて、もう一度会社に戻りますね」
「もしかして、まだ仕事の途中だったんですか?」
「はい。和宮さんが僕の帰りをずっと待ってたって、須田さんから聞いたから」
まさか……。
(はめたな、青羽ちゃん……!)
青羽のニヤニヤ笑いが脳裏に浮かぶ。
二階堂さんとの距離を縮めることができたのは、たしかに嬉しい。
でも、仕事で忙しいのに、余計な手間をかけさせてしまったではないか。
責めるでもなく、ニコッと笑顔を向ける二階堂さんの爽やかさに、くらりとめまいがした。
――言えない。
二階堂さんの聞き間違いではなく、青羽ちゃんの確信犯的な行動だなんて。