奏でるものは~第4部 最終章~
お正月は、優人さんが家に来て親戚に挨拶をした。
本家に行ったり、来てくれた人に婚約の挨拶をする。
年始の挨拶も落ち着き、二人で私の部屋にいると
「なんか、緊張したよ。サイタグループの会長と向かい合って話すのは初めてだからなぁ」
疲れ気味の表情の優人さんに同意する。
「でも、結婚って大きな事なんだなって思ってきた」
「え?」
「だって、私にとっては、優人さんと結婚することは、人生の節目じゃなくて、これからも続いていく人生のパートナーができたってことでしょ?
優人さんと結婚することが特別じゃなくて、優人さんが特別なのよ。
貪欲に幸せを求めた結果だから、めでたいのか分からないわ」
肩を抱かれた。
「それはそれは、ものすごい告白を受けたよ、ありがとう。
俺にも歌織は特別で、結婚することが当たり前に思える。
当たり前すぎて、めでたい訳じゃないかもな」
「………」
「貪欲に幸せを求めた結果が俺ってことは、俺といて幸せってことだろ?」
そう言われて、顔が熱くなって目を閉じた。