私に触れて、そして殺して


誰かの話し声に気がつく
誰だろう、と耳をすませると
レンと…三吉さんの声


「ーーだ、いい加減にしろ」


「そんな事言っていいの?」



何やら揉めているように聞こえる
あんなに温厚で優しい三吉さんが
怒っているなんて想像もつかない



「サラに触れられないくせに」


「っ、サラじゃない、凛子だ」


子供の喧嘩のような言葉だが
二人の間に亀裂が入っているのは確かだ


「凛子に要らぬ感情を持つな、わかったな」


ガチャン、とドアが閉まる音がした
ふー、と息を吐くレン
部屋から出て行ったのは三吉さんだと理解する
レンの足音が近づいてきて
私の頭に触れてきたレン


要らぬ感情ってなんだよ、と
ボソッと吐いたレンの声が悲しそうだ

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