私に触れて、そして殺して
「ヨシコさん、なんだって?」
『ううん、ちょっとした世間話よ。お疲れ様』
「ハヤシさんに、ケンちゃんに、その息子さんに…て、次から次と増えちゃって」
そい言いながら
伝票と商売道具が入った鞄を整理するタツヤ
『いい事ね。伝票は私がするわね』
ありがとう、とタツヤは私に伝票と売上金が入った巾着袋を渡してきた
私とタツヤは
誰も知ってる人のいない街へと移り住み
生きて行くために
二人で店を出したのだ
この街はよそ者、と偏見な目で見ることがなく
とても快く受け入れてくれた
この街には美容室も無ければ理容室もない
定期的に隣町から派遣されてくる年配の理容師さんだけ
だから店を出す、と話すと
誰もが協力的で賛成をしてくれた