私に触れて、そして殺して


タツヤは持ち前の明るさと性格を活かし
誰とでも仲良くなり
あっという間に街の人たちに溶け込んだ

私の方はやはり上手くいかず
トラウマもあり、引っ込みがちになっていた


それを心配して、何度も足を運んでくれたのがヨシコさんだった
ヨシコさんの旦那さん、ゲンさんとタツヤは仲が良く、自然に私もヨシコさんに頼るようになっていった


この街の両親のような存在だ



『何か企んでるの?』


ヨシコさんに言われたことを
タケシに伝えると
いや、別に、と歯切れが悪く
そんなタツヤを見ていたら笑ってしまった


『隠し事、出来ないわね。あんまり悪さしたら、この街に住めなくなっちゃうよ』


そんなことしねーよ、と
笑いながら返してきた

平凡な生活が
こんなにも幸せなんだと
この街に来てから日々強く思う

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