君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
カナトは奥の方に座っていた。
いつも見るカナトとは違う。

優しさよりも凛とした強さが静かに存在してる。

隣に座っているのは、黒い服を着た黒髪の若い男性。切れ長の目は、冷たくて、人を見下している感じがする。

あの人がドルツの王子だ。

何者も寄せ付けないような雰囲気がある。
こんなに離れた距離から見てても怖い。

すぐ近くにいるカナトはどうなんだろう?

あの二人はどんな話してるんだろう?

「神楽弥さん、そろそろお願いします」

「あっ、はい!」

やばい、緊張してきた。
カナトに見られるんだって思うと、余計に緊張する。
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