君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
カナトは西の国境へ向かった。

「本当はシンも行きたいんじゃないの?
カナトの護衛だもんね」

「なんですか、それ。
神楽弥だって心配でたまらないんでしょ。

俺は、カナトに命じられたことを完遂するのみですよ。

だから、何があっても神楽弥を守ります」

「ありがとう。
でも私に手出ししようなんて人いるのかな」

昨日まで価値がないと思われてのに。

でもシンは、大きくため息をついた。

「そんなこと言ってるから、カナトに心配されるんですよ」

そうなの?
よくわからないけど、自分の身は自分で守らなきゃいけないよね。

そう考えていると、何か音がした。

どうしたんだろう?
なんだかむこうが騒がしい。

たしかあの辺は店が並んでたけど…。

お客さんがいっぱい来たっていう騒がしさじゃない。
もっと荒々しい感じ。

「おい、喧嘩だってよ!」

そう言いながら数人の男性が駆けていく。
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