君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
自室に戻る途中、神楽弥を閉じ込めた部屋の前を通りかかった。

やはり一晩牢に入れるくらいのことはすべきだったか…?

そう思ってドアノブに手をかけると、中から透き通った歌声が聞こえてきた。

歌ってやがる。
落ち込んでると思ったのに、立ち直りの早い奴だ。

耳を澄ますと、歌詞が聞き取れる。

あなたの進む道を
照らし続ける光

何度も悩む
進むために

なんて歌ってる。

型にはまって、その中で王子としての地位をあげようとする俺への当て付けかよ。

そう思う反面、心が大きく揺れ動き、その歌詞が頭から離れない。

そのまま聞き入り、結局最後まで聞いてしまった。
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