君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「ありがとう。
何回言っても足りないくらい感謝してる。

カナトも、シンも、リンタールの人たちも皆大好き。

でも、私は…。

生きてきた世界を捨てることができない」

涙ながらにそう伝えると、カナトはいつものように優しく笑った。

「うん。そっか。

そういう神楽弥だから、好きになったんだ」

カナトはどこまででも深い愛情で私を受け入れてくれる。

「もうそろそろみたいだな」

鏡が放つ光がどんどん強くなっていく。

その光に包まれると、次第に身体が透けていく。

もう、時間切れなの?

まだ伝えたいことがたくさんある。
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