君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「会談では何を話すの?」

そう聞いてみると、カナトから自虐的な笑いがこぼれた。

「腹の探り合いだよ。

本音なんて誰も口にしてないんじゃないかな。
あの場所では、はったりでも脅しでも何でもありだ。
でも僕らはそういうのがどうにも苦手でね。

まぁ、その外交の弱さが今のリンタールを作ってしまったんだけど。

ただ、小さな幸せを大事に暮らしていければいいと思ってる。それが夢物語だって笑われることもあるけど…」

最後の消え入りそうな言葉に、なんだか胸が締め付けられた。

「そんなことないよ!」

気がつくとそう発していた。
カナトの言葉が消えてしまう前に、私の言葉で覆ってしまいたかった。

小さな幸せを。一人ひとりの笑顔を大事にしたい。
それは、大きな利益よりも大切なことだ。
そう信じたい。
否定なんてさせたくなかった。
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