君に捧ぐは、王冠を賭けた愛。
「神楽弥のことだから、時間持て余してるだろうと思いまして」

「うん。暇してる。

でも、シンはカナトの護衛についてるんじゃなかったの?」


「それが、会談の場に護衛を連れていくのは失礼にあたるからって1日放置食らってるんです。

ひどいもんですよ。
あとで助けてって泣きついてきても俺は知りませんよ」

「泣きつく?
カナトが?」

そんな姿は全く想像つかないな。

「ありえないっておもったでしょ?
ああ見えて、ちょっと前までは泣き虫だったんですよ。

まぁ、そんなことどうでもよくて。
図書館にでも行きません?」

「図書館?
行く!」

ずっと行ってみたかった。

カナトの話はすっかり飛んでしまい、シンの提案にすぐに乗っかった。

「そうこなくっちゃ!」

指をパチンと鳴らすと、部屋から連れ出してくれた。
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